新浦安に住みたい。⑦ 買う vs 借りる、結局どっちが良い?

家とお金を天秤にかけるイラスト 新浦安

概要

③住居編で「買う」相場、⑥賃貸編で「借りる」相場を見た。そうすると、次の検証は、「新浦安に住み替えるとして、買うのと借りるのと、結局どっちが良いのか」。加えて、「そもそも引っ越さない」も土俵に乗せ、15年後の純資産で比べてみた。

先に断っておくと、これは公開データに基づく一般的な試算であり、投資助言ではない。前提を変えれば結果は変わる。どう変わるかも含めて記録。

具体的検討

比較する4つのシナリオ

  • A:築浅を買う(7,980万円・85㎡想定。頭金と諸費用で1,500万円、ローン7,000万円)
  • B:築古を買う(4,280万円・80㎡・築47年の実例ベース。リフォーム込みフルローン5,100万円)
  • C:新浦安で築浅3LDKを借りる(月23.5万円)+手元1,500万円は運用
  • D:引っ越さない(現居相当の住居費を月14万円と仮置き)+1,500万円は運用

比べ方は「15年後の純資産」。月々の住居予算を全シナリオで揃え、余ったお金は運用に回すルールで統一した。運用は年5%、住宅ローン金利は現状の変動金利並みの1.0%を基本とし、ストレスとしてそこから+2%(3%)を置く。

結果①:現状維持の世界(運用5%・金利1.0%・不動産市況は横ばい)

※本記事の「純資産」は、15年後に不動産をすべて売却して現金化した場合の手取り(仲介手数料などの取引費用を差し引いた後)+運用資産の合計。含み益ではなく、出口まで通した数字で比べている。

※売却価格の置き方。築浅は③の記事の回帰式で「築年が進む分の値下がり」を計算(築5年→築20年で年約1.2%)。築古の15年後(築62年)はデータの範囲外なので、今の築古相場(54万円/㎡)を基準に「下げ止まり(今の相場を保つ)」「3割減」「半値」の3通りを置いた。不動産市況の変動(①は横ばい、②は年+2%、③は年±2%)は、これとは別に上乗せしている

まずは今の市況の延長。インフレはあるが金利はまだ低く、新浦安の中古価格は横ばい〜微増。不動産価格の市場変動は0%と置く。

シナリオ月の住居支出15年後の純資産
D 引っ越さない14.0万円5,727万円
B 築古購入(出口:下げ止まり)17.6万円5,528万円
B 築古購入(出口:3割減)17.6万円4,388万円
B 築古購入(出口:半値)17.6万円3,605万円
C 新浦安で借りる23.5万円3,188万円
A 築浅購入23.8万円2,744万円

数字だけ見ると、1位は「引っ越さない」。そして意外なことに、築古購入は出口が下げ止まるなら、引っ越さない場合とほぼ同じ資産が残る。つまり出口さえ明確に見極められれば、住み替えコストは実質ほぼゼロ。逆に3割減なら1,300万円近く、半値なら2,100万円の差がつく。築古戦略の成否は、ほぼ出口(売却価格)で決まる。

築浅購入が最下位なのも目を引く。売却まで織り込んでもこの順位になる理由は後述。

結果②:インフレの世界(運用7%・金利3%・不動産市況+2%)

次に、株も不動産も金利も上がる想定の試算。インフレが定着して金利が追いつき、名目価格がそろって膨らむ前提。

シナリオ15年後の純資産
D 引っ越さない9,508万円
B 築古購入(出口:下げ止まり)8,433万円
B 築古購入(出口:3割減)6,899万円
C 新浦安で借りる6,497万円
B 築古購入(出口:半値)5,845万円
A 築浅購入4,525万円

不動産価格が年+2%上がっても、築浅購入は借りるに届かない。金利3%だと月返済は約20万円→27万円に跳ね上がり、15年の利払いが値上がり分を食ってしまう。㎡単価ばかり見ていたが、本当の急所は「借入グロスの大きさ」だと分かった。一方で築古(下げ止まり)は借りるを2,000万円近く上回る。インフレの恩恵を受け取れるのは、利払を抑えられるグロスの小さい買い方だけ

結果③:不動産市況だけが動いたら(①の条件で年±2%)

今後数年で最も起こりそうなのは、新浦安の中古価格の横ばい〜緩やかな上昇だと見ている。だからこそ、見立てが外れて下落した場合にどのシナリオがどれだけ傷むかを見ておく。

シナリオ①横ばい(0%)年−2%差分年+2%
A 築浅購入2,744万円1,054万円▲1,690万円(▲62%)4,980万円
B 築古(下げ止まり)5,528万円4,522万円▲1,006万円(▲18%)6,858万円
B 築古(3割減)4,388万円3,681万円▲707万円5,324万円
B 築古(半値)3,605万円3,102万円▲503万円4,270万円
C 借りる3,188万円3,188万円03,188万円
D 引っ越さない5,727万円5,727万円05,727万円

同じ「年−2%」でも、築浅は純資産の6割を失い、築古は2割。借りる・引っ越さないは無傷。下落への脆さは、物件価格(借入グロス)に比例する。逆に年+2%なら築浅購入も借りるを逆転するが、それは「市場が上がる」という見立てに丸ごとぶら下がった結果。過去10年の首都圏中古マンションは年4%前後の上昇だったが、それを未来にも当てはめる根拠は弱い。

わかったこと

  • 数字の最適解は「引っ越さない」。それでも引っ越すなら、差額が「子どもの環境に払う値段」ということになる。環境にかかる金額が見えたのが今回の収穫
  • 築古購入は出口次第で最良にも最悪にもなる。だから物件の管理状態・修繕計画・立地の見極めがすべて(この確認だけで1,000万円以上の差になる)
  • 築浅購入は出口が良くても順位が低い。原因は値下がりではなく、大きな借入×金利×取引コスト×頭金の機会費用という「買い方の構造」
  • 買うvs借りるの分水嶺は、物件よりも「自分が将来の金利と運用リターンをどう見るか」。運用に強気なら借りる側に、弱気なら買う側に傾く。そしてもう1つの分水嶺が「不動産市況が今後年何%動くと見るか』。本記事は横ばい(0%)を基本に±2%で示した

この試算の限界

  • 家賃・金利・維持費は15年間固定と仮定。結果②のインフレ世界でも家賃は据え置きなので、その分は「借りる側に有利」な癖を持つ
  • 築古の15年後(築62年)の価格はデータの範囲外。だから「下げ止まり」「3割減」「半値」の3通りの幅で示した
  • 運用5〜7%は期待値であり、15年での下振れは普通に起こる
  • 税金は簡略化(自宅売却は3,000万円特別控除で非課税前提、住宅ローン控除は築浅のみ算入)
  • 「引っ越さない」シナリオは住居費のみで評価しており、現居自体の資産性(ローン元本の返済による持ち分の増加や価格変動)は織り込んでいない

まとめ

  • 純資産だけなら「引っ越さない」が最強。住み替えはお金の問題ではなく、何にいくら払うかの問題
  • 買うなら、出口を見極めた築古。見極めができないなら借りる方が安全
  • 大きな借入は金利上昇に脆い。㎡単価より先に借入グロスを見る
  • 結論は運用と金利の前提に強く依存する。自分の前提で計算し直せるよう、試算の仕組みは本文に記載した通り

机上の数字はここまで。築古の「出口」を見極める目を作るのが、次の現地調査編の仕事になる。

出典・前提:売買は③住居編(国土交通省・不動産情報ライブラリ成約データ281件)、賃貸は⑥賃貸相場編(SUUMO掲載情報)、維持費は国土交通省「令和5年度マンション総合調査」および実物件の掲載情報。試算は筆者による簡易モデルであり、正確性を保証しない。本記事は一般的な情報提供であり、投資助言・購入推奨ではありません。

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