概要
検討項目5つは⑤通勤・送迎編で一巡した。ここからはもう一段の深掘り。③の住居費用編では「買う」相場を見たので、本記事では「借りる」相場を見ていきたい。
あわせて、周辺エリアとの比較も行う。同じ浦安市内の東西線側(浦安駅)、お隣の市川市(行徳)、江戸川区(葛西・西葛西)、江東区方面(東陽町)、そして西船橋。新浦安の家賃は、周りと比べて高いのか安いのか。この記事は、今後エリアを広げて検討していくための入口も兼ねている。
具体的検討
データの出どころ
SUUMOの家賃相場情報(2026年7月10日更新時点)を筆者が整理した。注意点が1つあって、③で使った国交省のデータは「実際に成約した価格」だったが、今回は「掲載中の募集賃料」ベース。つまり大家側の出し値。水準感の比較として読んでほしい。
わかったこと1:家賃は県境で下がらない。浦安は「都内より高い」
まず市区単位の3LDK以上の相場がこれ。
| 市区 | 3LDK以上の相場 |
|---|---|
| 江東区 | 23.9万円 |
| 浦安市 | 17.0万円 |
| 江戸川区 | 16.2万円 |
| 葛飾区 | 15.4万円 |
| 市川市 | 13.5万円 |
| 船橋市 | 11.4万円 |
浦安市は千葉県で最も家賃が高い市区。さらに都内の江戸川区・葛飾区より高い。「東京都に入ると高くなる」という思い込みは、この湾岸エリアでは通用しない。駅単位でも同じで、新浦安17.6万円に対して都内の葛西臨海公園は14.9万円。東西線でも浦安16.0万円≒葛西15.9万円と、県境の段差がない。
抽出したデータの範囲から言えるのは、家賃を決めているのは「都内かどうか」ではなく「街」。ちなみに都心方向に進むと東陽町19.9万円、木場21.9万円、門前仲町24.9万円と一気に跳ね上がる。江東区に入ると都心プレミアムの勾配が県境よりずっと急峻になっている。
わかったこと2:新浦安は「ファミリー間取りだけ」高い
次に、条件を揃えて(駅徒歩10〜15分・築15〜20年・マンション)、間取り別に7駅を比べた。
| 駅 | ワンルーム | 3LDK |
|---|---|---|
| 新浦安 | 6.8万円 | 18.6万円 |
| 浦安 | 6.8万円 | 15.2万円 |
| 行徳 | 7.1万円 | 14.4万円 |
| 葛西 | 7.6万円 | 16.0万円 |
| 西葛西 | 7.5万円 | 19.0万円 |
| 東陽町 | 8.7万円 | 23.3万円 |
| 西船橋 | 6.3万円 | 15.5万円 |
面白い逆転が起きている。ワンルームの新浦安は7駅で最安級(都内3駅より安い)。ところが3LDKになると18.6万円で一気に上位に跳ね、行徳より月4.2万円(年50万円)、都内の葛西より月2.6万円高い。
ワンルーム→3LDKの倍率は新浦安2.7倍で7駅トップ。つまり新浦安の家賃の高さは「ファミリー向けだけのプレミアム」。単身需要が薄く、家族需要が集中する街の構造が、賃料に現れている。③住居編で見た「海側は大型物件しかない」現象が賃貸版でも見られる。
掲載物件の顔ぶれも特徴的で、新浦安の3LDK募集は駅前の築古大規模(入船・美浜のエステート系)が中心。築浅の賃貸は数が少なく、あっても月23〜27万円の世界。分譲主体の街なので、そもそもファミリー向け賃貸の供給が薄い。
わかったこと3:築古の家賃は、思ったほど安くならない
③住居編では「築1年 ≒ 70㎡で約80万円」という売買の築年値引きが見られた。賃貸ではどうなるか、掲載中の3LDK15件を築年帯で分けて、㎡あたり賃料を集計してみる。
| 築10年未満 | 築40年前後 | 下落幅 | 年率換算 | |
|---|---|---|---|---|
| 分譲価格(㎡単価) | 87.0万円 | 47.1万円 | ▲46% | 約▲1.5%/年 |
| 家賃(㎡・月額) | 3,355円 | 2,201円 | ▲34% | 約▲1.0%/年 |
売買と賃貸を同じ表に並べると、対比がわかる。価格は年1.5%ペースで下がるのに、家賃は年1%しか下がらない。
建物は同じ速さで古くなるけど、家賃は価格ほど律儀に下がらない。つまり、築年数が古くなるほど、借りるより買うほうが有利になってくる。
ただ、これは表面の話。買うと管理費・修繕積立金(全国平均で月2.5万円前後※、築古ほど重くなりがち)と固定資産税がかかるし、築40年を買ったら売却タイミングでは築50年超の出口が待つ。そこまで含めると差は縮むか、物件によっては逆転する。「買うか、借りて待つか」の詳細な試算は、別記事でやる予定。
※国土交通省「令和5年度マンション総合調査」/表の下落幅・年率は築年帯の中央値からの概算(分譲は③の成約データ、家賃は掲載15件の集計)
これから調べること
今回はSUUMOの相場データであれこれするのが中心で、まだ相場比較としては完成してない。
- 面積を揃えた市外比較(行徳・葛西あたりの65〜75㎡に絞ったサンプリング)。相場表の3LDKは面積がバラバラなので、③と同じ「条件を揃える」検証をしたい
- 別の相場サイト(アットホーム等)との突き合わせ。1社のデータだけだと集計方法の癖が乗る
- 「買う vs 借りて待つ」の試算。売買と賃貸の両方の相場が揃ったので、次はこの2つを繋げる計算ができる→[別記事:⑦買う vs 借りる どっちが良い?]
このあたりは本記事の更新か、別記事にするか検討中。
まとめ
- 浦安市の家賃(3LDK以上17.0万円)は千葉県トップで、都内の江戸川区・葛飾区より高い。家賃は都内かどうかではなく「街」で決まる
- 新浦安はワンルームは最安レベルなのに3LDKは高い、という特徴のある駅。高いのはファミリー間取りだけ
- 背景は供給。分譲主体の街でファミリー賃貸の在庫が薄く、築浅賃貸は月23万円超
- 新浦安エリアの物件は、築年数が古いほど、借りるより買うほうが相対的に有利になる
- 近隣の駅・街との家賃差については、行政サービス・教育環境などの観点も踏まえて別途深掘りする予定
「買う」編と「借りる」の本記事で、新浦安の住居コストの全体像がわかった。ここから先は、周辺の街との比較や、買うvs借りるの本気の試算。
出典:SUUMO 家賃相場情報・賃貸物件掲載情報(2026年7月10日更新分を2026年8月30日に取得、筆者整理)。掲載賃料ベースの集計であり、SUUMOの独自集計ロジックによる目安。正確性はSUUMO・筆者とも保証しない。売買比較は③住居編(国土交通省・不動産情報ライブラリ成約データ)による。


コメント